【美容室経営】リピーター集客の効果の大きさを計算してみた

以前の記事で、リピーター集客を最優先すべきと書きました(参考:【美容室経営】新規集客とリピーター集客の違い)。集客と呼ばれる行為には新規集客リピーター集客が存在していますが、その中でも特にリピーター集客を最優先すべきという事を「集客コスト」と「潜在ターゲットの限界」から定性的に説明した記事です。今回はその補足として「集客コスト」の違いを「新規集客」重視の美容室と「リピーター集客」重視の美容室を想定して試算してみたいと思います。

計算機を使って試算している画像


前提条件の整理

今回の記事の目的は「集客コスト」を「新規集客」と「リピーター集客」それぞれに分けて長期にわたってシミュレーションしてみる事です。2つの仮想的な美容室(以下、新規集客重視美容室とリピーター重視美容室と呼びます)を用意し、それぞれの集客方法でどのように経営に差が出てくるのかをみていきましょう。

厳密に計算をすると複雑になってしまうので、以下の単純化した諸々の条件は2つの美容室で共通とします。

  • 1日の最大来客人数は50人
  • 平均客単価は5000円
  • お客様の来店周期は1ヶ月
  • 1ヶ月の営業日は20日間
  • 家賃やスタッフへの給料は無視する(固定費として計算すると影響が同じになるので簡略化のために無視)
  • 新規集客のコストは1回2000円とする。ただし、来客したお客様は2回目以降の来客はなく、1度限りの来客になる
  • リピート集客のコストは1回8000円とする。ただし、来客したお客様は全て2回目以降も毎月来客し続けてくれる固定客になる
  • 集客をかけない限り、美容室に来客はないものとする
  • 集客にかけられる予算はどちらの美容室も1ヶ月に最大200万円までとする
  • 利益は売上 - 集客コストで計算する
この前提条件で、「新規集客重視美容室」と「リピーター重視美容室」の経営がどのように違うのかをシミュレーションしてみましょう。

子供が黒板で計算している画像

新規集客重視美容室の場合

新規集客の場合は集客コストをかけた分だけお客様の来店があり、売り上げを立て続けられます。ですので、集客予算を目一杯使ってお店が常に満席になるように集客することが最適な行動となります。

上記の前提で最適な行動をお店がとった場合の半年分の売り上げを表にまとめて見たのが以下です。
新規集客だけを美容室が行なった場合の経営シミュレーション

目一杯新規集客をすることで、毎日予約が埋まっている人気美容室に見えます。売り上げも毎月堅調にあげており、累積利益も確実に積み上がっています。

ただし、毎月の集客コストが一向に減りません。新規客を呼び続けているものの、リピーターにならないため集客を止めたら最後、お客さんが来なくなってしまうからです。そのため毎月の利益は一定に止まっており、これ以上の成長が見込めない状態になっています。

リピーター重視美容室の場合

もう一方のリピーター重視美容室ではどうなっているでしょうか?8000円の集客コストは5000円の顧客単価をうわまっている状態で、初回来客では赤字です。しかしながら手厚いリピーター対応によって、お客様の満足度が高くなったため必ず2回目以降も来店してくれるリピーターとして育成することができました。早速半年間の結果を見てみましょう。

リピーター重視の集客を美容室が行なった場合の経営シミュレーション


初月は赤字になってしまいました。顧客単価よりも集客コストが高いので当然ですね。それに来店人数も12人と空きが目立つ美容室に見えます。出だしは新規集客重視美容室の方が良さそうにみえます。

しかし、時間を経るにつれてリピーターの成果が着実に利益に跳ね返ってきています。6ヶ月目にして、リピーターの人数がお店の1日の最大来客数に達したため集客も必要なくなりました。今後は集客コスト0でのお客様の来店が見込めるため、費用の削減が達成できています。最初にかかっている集客コストは新規集客重視美容室よりはるかに高いものの、長い目で見ると実はリピーター重視の方が必要な集客コストは安くなるのです

6ヶ月目以降は1ヶ月あたりの利益がリピーター重視美容室の方が200万円多いので、毎月その分だけ新規集客重視美容室に差をつけることができます

集客をどのように考えれば良いのか

極端に単純化した前提と、ややありえない仮定(100%リピートするなら誰でも方法が知りたいですね!)を置いたため、結果としてはかなり早期からリピーター重視美容室が圧勝することになりました。ただ、これが前提がリピーター美容室に有利だから意味がないと切り捨てるのは尚早で、実際の美容室経営に活かせる十分な示唆にもなっています。

実際の美容室経営では集客コストの計算がとても複雑です。新規集客にしかならない集客方法、必ずリピーターになってもらえる集客方法というのは明確に区別されていません。どれも集客人数とその費用程度しか開示していないのではないでしょうか?その開示されている情報(もちろん開示されていない情報も含めて)を最大限活用することで、その集客方法は「新規集客」をしているのか、「リピーター集客」をしているのかを自分で判断する必要があります

自分で進むべき道を決めている画像


また、お店の予約が埋まっていないのであれば「新規集客」は有効な手段でしょう。席が余っているのであれば、それを埋めて売上に変えたほうが良いはずです。しかし、その予約が本当に利益を生み出しているのか、「新規集客コスト」はいくらで予約を埋めることでの利益はいくらなのかを計算した上での決定にすべきです。

「リピーター集客」を重視していると断言している美容室も多数あると思います。その場合は実際のリピート率やリピーターになっているお客様の数を常に計測する必要があります。

例えばLTV(Life Time Valueの略で生涯顧客価値と訳される指標のこと)を使って現在の経営状態を判断したり、1人のリピーターとなってくれるお客様を呼び込むためにいくらまで集客コストとして支払っても良いのか、その損益分岐はどれくらいの未来に訪れるのかを計算してから施策を実行すべきです。

リピーターを集めているから大丈夫、は長期間で見れば正しいですが、短期的には現金の支出が上回ることもあるので運転資金の枯渇が起きないようにバランスを取る必要があります。

バランスを取っている画像

「新規集客」も「リピーター集客」もどちらか一方だけが存在すれば良いものではありません。常に2つのバランスが大事です。目指している美容室像やお客様のタイプ、スタッフのキャリアなど多くの要素が絡み合っているので、一概にどちらが良いか断定することはできません。しかしながら、この2つの記事から明らかになったように長期的に考えた場合、美容室の経営の安定に不可欠な集客はリピーター集客と言えるのは間違いないはずです。

そして、このバランスが現状どうなっているのか分析してみることが集客を再考するための第一歩になります。オーナーや店長、スタイリスト、アシスタントなど役職に関係なくお店の状態がどうなっているのか、お客様の属性は新規のお客様が多い状態で経営が成り立っているのかなど、現状の理解を深めることが最優先に行うべきことになります。

現状を理解し、そして将来的な理想を描いてみて、そのギャップを埋めることが美容室の集客として行うべきアクションではないでしょうか。この記事が皆様の理想の美容室経営を考える上での参考になれば幸いです。

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