【美容室開業】 融資と出資の違い

美容師としてのキャリアをスタートさせると、いつかは自分もと一度は考えるであろう独立。今回は独立を考える際に必ず理解しておきたい融資と出資の違いとそれぞれのメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。以前書いた専門家をどのように活用するかの記事も合わせて参考にして読んでいただければと思います(【美容室開業】開業時の専門家活用)

美容室開業の融資と出資

開業資金をどのように集めるか

独立するにあたって必ず必要なのが開業資金です。お客様をどれだけ呼べるのかにもよりますが、お客様の来店サイクルを考慮すると最低でも3ヶ月、念を入れて6ヶ月分の運転資金(お客様がほぼ呼べなくてもお店が様々な費用を支払うめの資金)を用意しておくと安全です。

開業までの資金は数百万から場所によっては数千万単位で必要となってきますが、それをどのように用意するのかによって独立後のお店の運命が大きく左右されていきます。大きく分けて資金の準備方法は3つあります。

1:貯金しておく

コツコツ昔から貯金をしておき、独立時にはすべてそこから賄おうというものです。これができれば非常に自由度が高く、また融資や出資とも組み合わせることができるので一番良い方法と言えます。一方で、自己資金だけで満額の開業資金を準備するのは一部の収入が非常に高い売れっ子美容師としてキャリアを過ごしてきた方だけが取れる方法でもあります。今回は深追いはしませんが、実際は自己資金がどれだけ潤沢にあるかで開業時の問題も相当に軽減できますので、将来の美容室開業を目指している方は1円でも多く貯金することをお勧めいたします。

2:融資を受ける

大多数の独立事例ではどこかからお金を融資してもらうことが多いです。例えば親戚・友人から借りたり、信用金庫などの金融機関、日本政策金融公庫などの政府系機関からなど、融資と一言で言っても様々な手段があります。
融資の場合は”どこから”、”どのような条件か”ということが大きなチェックポイントになります。

融資を受ける


どこから借りるのか
親戚や友人からの場合と公庫を含む金融機関とで大きく条件が異なってきます。親戚、友人からの場合はケースバイケースで条件は相談次第と言えますが、金融機関の場合は個人の信用に基づいての融資が実行されます。これまで借金をしていたのか、クレジットカードなどで支払いの遅延はあったのか、担保として提供できるような財産を持っているのか、開業後の事業計画はどれほど確からしいものなのかなど、堅く返済が実行できる人かどうかという観点でチェックをされます

一般的には金融機関よりも日本政策金融公庫の方が利率も保証などの条件も緩く、融資がおりやすいのでまずは公庫から借りれるだけお金を借りるのが良いでしょう。冒頭でも書きましたが、公庫からの借り入れは借り入れの専門家をつけて行った方が融資金額の減額を避けたり、利率も下げることができたりとメリットばかりですので積極的に活用することをお勧めします。

どのような条件か
利率と返済期間、担保・保証人の有無が大きなチェックポイントにはなると思います。利率はお金を貸している金融機関の収益源ですが、一般的には信用が積み上げられていたり返済可能性が高いと判断されている場合には下がり、逆に返済の可能性が低いと見られていると高くなります。利率は極力低い方が良いので、やはり公庫や大きな銀行から借りることができればそちらを優先する方が良いでしょう。

返済期間に関しては長ければ長いほど毎月の現金支払いが減るので経営負担が小さくなります。また、公庫の場合は最初の半年程度は利息だけの支払いで元本支払いを免除するなどの対応を取ってくれる場合もあるので事業計画と見比べながら現金の支払い負担が大きくなりすぎないような計画を立てると良いです。

最後の担保・保証ですが、公庫以外では基本的には無担保・無保証での融資は下りないと考えて良いです。保証協会にお金を払ってつけるか、もしくは購入した家や友人への連帯保証などが必要になります。

融資の場合は独立する個人もしくは会社に対しての貸付になりますので、会社を株式会社で設立した場合の経営権は100%独立する個人が所有できます。融資を受けた場合はあくまでも融資の金額に応じた金利分の支払いを行えば良く、完済後は事業自体も自由にコントロールすることができます。一方でデメリットとしては堅実性がチェックされる毎月の支払いが発生する個人の保証をつけることが多いので失敗すると無一文になる可能性が非常に高いということになります。

融資を受けた

3:出資を受ける

出資の場合は融資とは異なり、出資された金額を返済する必要がない場合が多々あります。細かく見ていきましょう。

株式会社として美容室を設立した場合に、その想いや事業構想に共感してもらうことで個人や企業から出資を受けることができます。この場合、出資金額の対価として会社の株式を渡すことが大半です。つまりオーナーは自分以外にも別の人間がいるという状態になります。

ここでの注意事項は100%出資を受けるということは、オーナーはその出資者であり独立するあなたではないということです。事業がうまくいった場合などでも、将来の方針が合わなくオーナーと不仲になっても会社の経営権はあなたにはありません。あくまでもオーナーが法的にも会社の所有者であり、あなたを雇用しているという立場にあります。そのため、安易に出資を引き受けることは将来の事業の運営に対して自分自身でのコントロールを効かせられないというデメリットがあります

しかし、同時に事業が失敗した場合でもあなたは出資者に対しての返済義務などは存在しません(稀に出資と言いつつ連帯保証をつける偽物の投資家がいますが、あなたを騙そうとしている悪意ある人間と判断して問題ないので早急に話は終了して問題ありません。それは出資ではなく融資であり、出資とは違う条件になるはずです)ので、やり直すという観点では融資にはないメリットでしょう。

また出資を受けた場合は融資のような毎月の支払いは発生しません。お金を借り入れているのとは異なり、基本的には出資された金額は返済の義務がありません(会社の解散や利益が出た時の配当など細かなケースはありますが本題からそれるので割愛します)。そのため融資を受けた時とは異なり、借入金の返済のために資金繰りが苦しいというような状況にはならないとも言えます。

出資のパートナー


さらに、出資を受けることのメリットはオーナーに自分にはない能力やスキルを持っている人を引き込めることにあります。例えばIT系出資のオーナーであれば自分の美容室に向けてのITサービスを格安で開発してもらったり、芸能系に強いネットワークを持つオーナーと共に開始すれば芸能人へのパイプができるかもしれません。オーナーへ事業の成功に対しての関心を持たせることができるので、お店への支援を積極的に引き出しやすいというのが大きな利点です。そのため、お金以外で何か一緒に手を組みたい人がいるという場合には出資を受けることは非常に有効な手段となります。

出資の条件などは一般的に合意されているようなものは存在しませんので、個々の出資者との話し合いで合意する内容で決められます。相手がどのような支援を提供してくれるのか、自分はそれがどれだけ欲しいのかなどを元に決めていくと良いでしょう。また、将来のことも考えて株式をどれだけ相手に渡すのかも考えてください。51%以上を渡してしまうと実質的な会社の支配権は相手に渡りますので注意してください。

独立の目的

資金については上記に書いたように様々な方法で解決することができます。しかし、独立の前に必ず1つだけ考えて頂きたいことがあります。それはなぜ独立をしようと思ったのかです。独立に至った背景には様々な理由があるでしょう。昔からの夢だったから、現在の待遇に不満がある、自分の腕試しをしてみたい等、どれも独立するにあたっての十分な理由になりえますし、自分の人生にとって悔いがないように進めていくのが最善だと思います。

しかし、1つだけ覚えておきたいのは独立してオーナーになった場合の苦労や収入ダウンは覚悟しておくことです。美容室の経営を始めると本当に多くの出費が発生します。家賃や光熱費、材料費などからスタッフへの人件費、さらには税金や社会保険などスタッフとして雇われていた時代には見えないたくさんの支払いが発生します。自分はXXX万円売っているから、給料はもっと貰ってもいいはずと考えて独立してみたものの、実際に様々な支払いを行った残りは昔の給料以下だったということはザラに発生します。そうならないためにも、必ず事前に事業計画をしっかりとたて、自分の独立の目標や生活環境の変化を受け入れられるかの確認をしてください。

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