【美容室の経営】運営でのPDCAサイクル活用

PDCAは、Plan(計画)、 Do(実行)、 Check(評価)、 Act(改善)を繰り返すサイクルのことです。完結するプロセスではなく、最後のA(改善)を生かした次のP(計画)につなげて、同じサイクル(店舗運営)を繰り返すことで店舗の「継続改善」を図ることがPDCAサイクルの目的となります。
ではPDCAを美容室の経営に適用するとどうなるでしょう。美容室経営者の中には、PDCAのコンセプトは理解できるが具体的にどう適用したら良いのかわからない、という方も多いのではないのでしょうか。

美容室経営でのPDCA
PDCAサイクルは美容室経営のあらゆる場面で活用できます。今回の記事では美容室経営における具体的なPDCAサイクル活用方法を具体例も交え解説していきたいと思います。

美容室経営でのPDCA導入

お店の売上や客数が伸び悩む原因はいろいろと考えられます。例えば「近くに競合店が増えてきた」、「お店の商圏の人口減少」等の外部要因が考えられます。しかしこのような外部要因が特になく売り上げが伸び悩んでいるとしたら、お店の提供サービスのどこかに原因があると考えられます。そこでPDCAの導入でお店の改善するべき箇所を見つけていきます。
いきなりPDCAを導入しようとしても現場で何をすれば良いのかがわかりにくいかもしれません。美容室にとって一番身近な目標設定は売上/客数ですので、そこの改善を目的にすると良いでしょう。

PDCAサイクルは月間目標達成のために必ず1ヶ月単位でサイクルを実行するものではありません。なるべく達成しやすい1週間単位等の「小さなサイクル」を繰り返し実行し続ける方が、改善点が多く発見できるので効果的です。これは、なるべく早い段階で問題発見や、必要に応じての目標見直しをするためです。

PDCAサイクルで失敗する要因

PDCAサイクルで失敗する要因

PDCAが上手く実行できない要因はPDCAの各フェーズ毎に存在します。各ステップでそのフェーズが問題ないのかを確認しましょう。

P(計画)での失敗要因例

立てた計画に根拠がない場合、そのPDCAサイクルによる改善は期待できません。例えば今までの売上やスタッフ数を無視して、次月の売上目標を今の100万倍に設定しても達成するためのアクションとして現実的なものは考えられません。

D(実行)での失敗要因例

事前に、アクションアイディアの効果や現実性を考えず実行する場合や目標に沿っていないアクションをとった場合、その効果も極めて低いです。例えば客単価を伸ばすことを目標と設定している状態で、矢継ぎ早に大幅割引のキャンペーンを実施しても目標に沿っていないアクションとなっているので、客単価は増加しません。

C(評価)での失敗要因例

具体的な数字を用いた評価を行わないと、施策が上手くいったのか否かも把握できません。例えば、売上の伸び率や客数、お客様の評価やリピート率等の数字を無視し、「今月は良く頑張った!」と評価してもそこからは次回改善に繋がる発見が生まれません。

A(改善)での失敗要因例

毎月効果がない同じ施策を繰り返してしまい、それで改善を行っていると誤解してしまうことも多いです。以前は効果を発揮していたけど、今では効果がない施策(例えば効果がない広告掲載)が必要であると勘違いしてしまい、そこにリソースをかけ続ける失敗は特に多いです。

適切な計画を立てる重要性について

適切な計画を立てる重要性について
前述の失敗要因で紹介しましたとおり、PDCAでは計画の根拠が重要となります。その計画の裏付けを取るためには、現状分析をして店舗状況を把握したり、市場や競合の調査/分析も行う必要があります。特に現状の把握に関しては、お店の売上や客数のみといった大きな数字を更に細分化していき、それらを伸ばすために具体的にどの部分を伸ばすかも計画しておく必要があります。

例えばお客様の数を伸ばしたいなら、今の客層やお店のサービスを理解した上で、どの客層を伸ばすポテンシャルがあるのか/どこまで伸ばせそうなのかを把握し、そこを目標として設定する必要があります。この段階で上手く状況を把握すれば、例えば今のスタッフ数・椅子数からだと、これ以上客数は伸ばせないから、客単価を伸ばさないといけない等といった示唆も見えてきます。

美容室の現状把握

目標設定ではサロンの現状把握が重要だとお伝えしました。では実際、どのように状況を把握するのでしょうか。手段としてはPOSデータの分析や、商圏人口などの統計データの収集に加え、お客やスタッフの声等を参考にすることが考えられます。

自身のお店のターゲットとサービスに関しては十分詳しくなる必要があります。ここでサロンの状況把握の設問をいくつかご紹介します。
  • お客様の平均来店頻度はどれぐらいでしょう?
  • 新規のお客様の割合は何%でしょう?
  • カット後に再来店したいと思うお客様の割合は何%でしょう?
  • サロンのメインターゲットはどのような人でそういった人は商圏内に何人いるでしょう?
  • どのような動機で来店されたお客様が何%ずついるでしょう?
  • リピーターがあなたの店を選び続けている決め手は何でしょう?
  • サロンのことを知人に紹介したいと思っているお客様の割合は何%でしょう?
  • シャンプー台、POP、椅子、照明、床、インテリア、空調などは汚れ破損がなく美しい状態でしょうか?
  • スタッフの服装、身だしなみ、髪型、化粧などは清潔感があり、サロンの客層にとって好感の持てるものになっていますでしょうか?
  • お店の提供サービスはオリジナリティが高く魅力的なものになっていますでしょうか?
  • スタッフがお店の提供サービスの魅力や詳細について詳しく説明できるでしょうか?
  • スッタフの対応にムラはありませんか?
  • お客様との対応やアシスタントの業務について、マニュアル化や標準化はできているでしょうか?
  • 新人スタッフ/アシスタントに対するカットの技術トレーニングは適切に行われているでしょうか?
  • 最新のトレンド/流行を高いレベルで取り入れていますでしょうか?
繰り返しますが、このような現状把握の質問は感覚で答えるものではありません。回答を見つけるには、「お客様のアンケート」の実施や「スタッフへの調査」に加え、利用している「POSデータの分析」が必要となります。

現状把握には時間も労力もかかりますが、お店の置かれている状況を明確にすることで、強みや改善余地が簡単に把握できるようになります。これらの情報を利用すれことで、現実的な美容室の経営戦略を立てることが可能となります。

美容室でのPDCAサイクル活用の具体例

美容室でのPDCAサイクル活用の具体例
売上高の絶対値のみを目標と設定して、細分化せずに計画をしてしまうと、C(評価)の段階で、ライバル店のキャンペーン等といった外部要因が影響したことになったり、アクションが適切だったか否かが判断できなくなる場合があります。
ここではは実行やすい初期のPDCAの例を紹介します。PDCAを繰り返すことで徐々に高度な計画に繋げることもできます。

架空の若いビジネスマンをターゲットにした高級美容室チェーンの◯☓店では、毎月下旬の給料日前では予約数が減少する傾向にあり、対策を考える必要がありました。 
PDCAサイクルを実施する前のやり方としては、アシスタントスタッフに対してビラ配りをする支持が渡されましたが。ですが、 「月末の給料日前に来客数が減るのか」の原因が把握できていないまま、施策のビラ配りを実施しているので、客数の増加には繋がりにくいです。
「給料日前」に客数が減る現象にの原因について仮説を立てていった場合:
  • 当サロンはビジネスマンをターゲットにしており、施術料金も少し高め 
  • 給料日前にはターゲットの若いビジネスマン層に現金支払いの余裕はあまり多く残っていないかもしれない 
次に仮説を検証します。データを確認すると確かに給料日後は月末前後では客数は回復しています。そして同チェーンの他の店舗の売上情報では、毎月中旬~25日の間は、クレジットカードの決済比率が、他の日より高いことが判明します。
⇒「キャッシュが必要ないクレジットカード等の決済手段を導入すれば現金を持っていないお客様でも予約/来店が可能となりそう。」といったアクションが見えてきます。
そこでクレジットカード決済と導入したところ毎月下旬のお客様現象の傾向が解消されました。

上記は非常に単純化されている例ですが実際の店舗運営でも、適切な施策を見つけるためには、次の進め方だと効果的です。
  • 起きている問題を細分化する:客数減少の要因は毎月下旬~給料日の客数減少
  • 要因についての仮説を考える:若いビジネスマンがターゲットなので、給料日前に現金支払いの余裕がない可能性が高い
  • 仮説を検証する:クレジットカード導入済み店舗のデータを参照
また、今回は施策が上手くいった事例を紹介しました。施策の効果が予想通りでなかった場合でも検証で次の施策が見えてきます。新たにクレジットカードを導入したことで、何割のお客様がクレジットカードを利用したのか、クレジットカード所有率はそもそも高いのか等の検証を行います。この検証を行うことで、クレジットカード決済の施策が上手くいかなかった場合、ターゲットのお客様を意識した給料日前のキャンペーンや特典を実施が可能となり、またその効果を測定する必要があります。

まとめ

PDCAと言われると難しそうで敬遠されるかもしれませんが、数値を取り入れた具体的な計画を設定し、その計画を実行し、結果を分析して、問題を特定できたらそれを改善し、次の計画をたてる流れを繰り返すサイクルとなります。是非今回の記事を参考に、店内のスタッフ全員が共感できる「明確の目標設定」から始めて、隠れていたお店の問題点を見つけていきましょう。

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